

ね〜ね〜。

ヤッホーたぬ。

琴音がむかし働いてた会社はさ、シンガポールの会社だったよね?

うん、本社はアメリカにあったけど、そのシンガポール支部ね。

そっかぁ〜。じゃあ、上司はシンガポール人だったのー?

うん、シンガポール人だったよ!
ディレクター含め、社内で一番多いのはシンガポール人。
その他はインドネシア人・中国人・ミャンマー人・ベトナム人・インド人・タイ人なども一緒のオフィスで働いていました。

わぁ〜たのしそう〜

そうだね…でも、大変だったよ?汗
私は2016年4月に、新卒・現地採用でシンガポールの米系リサーチ会社に入社した。
ちなみに2013年に東ティモールに滞在していた時も、組織のトップがシンガポール人だったので、シンガポール人上司と働くこと自体は3年振り2度目だった。当時はまさかシンガポールで現地採用されるとは思ってもいなかったけど。
とにかく。
日本人・日本文化優勢の日系企業ではないので、「外国人労働者」である自分の存在は圧倒的マイノリティー。そしてシンガポール人上司にとって、日本人部下の存在は異文化の塊でもある。
だから仕事とはいえ、大切なのは「人間関係」。
できれば上手く折り合いを付けたいところよね。
そこで今回は、私の実体験に基づき、シンガポール人上司と上手くやっていくためのコツをいくつか紹介します♪
シングリッシュに慣れる
まず、これはマスト。
シンガポールで働き始めてすぐ、私が頭を悩ませたのもコレだった。
上司が話している英語(=シングリッシュ)が、怒っているように聞こえて仕方がない!(ごめんなさい)
シングリッシュとは、英語×中国語をミックスさせたピジン言語のこと。国民の80%弱が中華系民族であるとされているシンガポールでは、中国語の表現や語気が入り混じって話されている。
で、話し方が、キツいんだなぁこれが…。
相手に悪気はないってわかってるんだけど、シングリッシュのせいで、いたって普通のセリフでも角が立って聞こえてしまうんだ。

ミーティングするぞ(オラ
ひぃぃっ!

もうランチ食べたんか?
(一緒に行くぞ)
はぃぃっ!
語尾が断定的に聞こえるからかな?
入社してから少なくとも1週間は、上司からシングリッシュで話しかけられる度に怯んでた。
なのでシンガポール人上司の元で働くときは、「彼/彼女は決してデフォルトで怒ってるんではない!」と心を落ち着かせた上で、徐々にシングリッシュに慣れていこう◎
ご参考までに
ディズニー映画「美女と野獣」で誰もが知る、ダンスシーンがあるじゃないですか。あのロマンチックな雰囲気だって、シングリッシュにかかればもはや漫才…。興味がある人は覗いてみて下さいな。
「嫌だ」と「わからない」をハッキリ伝える
社員が採用時に雇用主と交わす「ジョブ・ディスクリプション(職務説明書)」という契約書がある。あなたの仕事は〇〇です、と具体的に示してある文章だ。
そしてシンガポールでは、そこに定められた範囲外の仕事はしないというスタンスが一般的である。
例え上司やクライアントからの依頼であっても、採用時の約束と外れることは頑として遂行拒否!日本の労働文化からすれば示しのつかないくらい他力本願な人は多い。そして誰も対応したくない「たらい回し」の業務が、部下、つまり新卒に回ってくることも少なくない。ガーン。
でも、実力社会のシンガポールでは自分の業務さえ遂行していれば、基本的に「嫌なものは嫌」「わからないものはわからない」と主張できる労働環境であったりもして。
もし仕事で腹落ちしないことがあれば、こうハッキリと伝える。

ワタシ納得いってませんよ!
もしくは

ワタシ理解してません!
というのも昔、国際協力機関で働いていたとき、図らずしも「日本人」というアイデンティティが裏目に出た経験をしたことがある。直属の上司ではなかったがチェコ人のマネージャーで、彼女からの仕事の振られ方が腑に落ちなかったので気持ちを伝えたところ、「あら、日本人だったら何をしてもNoと言わないと思ってたわ」とイヤミを言われてしまったのだ。
国籍やバックグラウンドから、足元を見た接し方をされるのは酷くショックだった。
しかし実際問題、世界から見た「日本人」というフィルターは、海外どこへ行っても付いて回る。
私は今までアメリカ、東ティモール、ドイツ、シンガポールに住んできたけど、「日本人」という先入観や偏見は、良くも悪くも絶対に切り離すことができない。私たちが他の国民に対して無意識に感じているのと同じように。
そしてビジネスの場でも、「日本人」というアイデンティティは一人歩きする。意識していなくても、水面下で動いている。それが「吉」と出るのであれば、ハロー効果を上手く利用するという手もある。けれど反対に「凶」である場合は、その誤解を自ら正しにいかないと、意図しない被害を被ることになりかねない。この塩梅は、多文化が交わる職場において個人的にとても難しいと感じるポイントでもある。ただのクレイマーは迷惑になってしまうしね。
ただ自分の業務責任ゾーンを守るためにも、赤べこのようにずっと首を縦に降っているのではなくて、嫌なことはハッキリ嫌だというように心掛けることが重要であるように思っている。
変に「自分はできる」と思い込まない
以前、シンガポールで貿易業に従事している知り合いから聞いた「梅干し」の話が記憶に新しい。
日本人なら好きな人が多い「梅干し」。しかしシンガポールでは、そんな「梅干し」ビジネスの市場介入が難しいという話だった。
なぜなら日本人の間で親しまれている「酸っぱさ」が、シンガポール人にとっては全て「塩辛い」と味覚されてしまうからだという。そのためハチミツ漬けした梅に、さらに大量の砂糖をまぶして提供するのがウケが良いんだって。塩漬け・赤しそはタブー。砂糖ドーン。一部の日本人にとっては邪道かもしれないけど、それがシンガポールのやり方。自国での成功例が、他国でも同様に受け入れられるとは限らない。
それは仕事の場合も、おそらく同様で。
これは会社によって異なるかもしれないけれど、少なくとも私の知っているシンガポール企業では、日本のビジネスマナーでは初歩的な「報告・連絡・相談(ホウレンソウ)」はあまり色濃く存在しない。逐一わからないことを相談したり、安易に事象を報告するということは、自分の頭で考えられない未熟なスタッフとして捉えられてしまう傾向さえあるらしい。恐ろしいよね。
こうした現地の社会ルールに照らし合わせた時、果たして「自分はできる」と過去の自信にすがれるだろうか?
私は小心者なので無理だったな。
それどころか、私が持っていた「外国人」×「新卒」というカードの組み合わせは最弱ということに気付いてしまったよね。

シンガポール政府にとっては「部外者」と「就労経験なし」っていう、あまり社会貢献のメリットを感じられない人材だからね。
海外で働くということは、自分は「外国人」な訳で、「日本ではこうだったから」という成功例はまず通用しない。いや、通用することもあるかもしれないけれど、自文化を至高とした杓子定規ではただのゴリ押し人間になってしまう。
やっぱり、ある程度その国のルールに従う必要はあるんだ。
むしろ雇ってくれて有難うございます企業様…..!!
そんな感じで常に「働かせてもらっている」という気持ちを忘れず謙虚に。
そして頻繁に「Am I on the right track?(わたしの理解で合ってますか?)」と上司や同僚に確認するようにすると安全かも◎
上司の性格を知る
家族や恋人との関係作りにおいて、大切なこと。
それは、彼/彼女が何を考えているのか状態を把握しておくこと。
なぜならシンシンと降り注ぐ雪のように溜まるストレスを認識できていないと、いつしか限界を越えてしまった相手が急に「般若(はんにゃ)化」してしまうから…。

あの時はこうして欲しかったのよ!!
今更もう何したって手遅れよ!!💢
それで失敗。なんて経験もあるよね〜(遠い目)。
実はシンガポール人の上司とも、こうした関係は必要なように思う。
上司とコミュニケーション?恋人じゃあるまいし!!
うん、わかるよ。
わかるけど。
シンガポール人って「仕事」と「プライベート」を切り離すのが得意なのか、二重人格のようにON・OFFの顔が違う人も少なくない。私の経験上、仕事で何度呪ってやろうと思った付き合うのが大変なシンガポール人上司でも、プライベートの生活では恨めない人が大半である。
ちなみに私の最初の上司は34歳のシンガポール人女性で、オフィスで「一番関わりたくない人は?」というアンケートがあれば100人中100人が名を挙げそうな人だったんだけど、なんと「小池徹平のような子犬タイプの男の子が好き」だということが判明してメチャクチャ笑った(すみません)。というか小池徹平を知っているという事実にも驚いたし、それからランチミーティングなどを頻繁にするようになって、彼女の家族愛の深さも知った。
折り合いが上手くいきそうにない時ほど、勇気を出してコーヒーにでも誘ってみよう。
少しでも上司の「日常」の一面が見えると、あぁこの人と一緒に頑張ろうというモチベーションにもなるはず。

仕事の相談もしやすくなるよ♪
頑張る(笑)
それでもダメなら、もうこれしかない。
時のリー・クアンユー元首相もインタビューで語っていたキーワード「実力主義哲学」は、シンガポールの職場にも浸透している。
できるものは登っていく。できないものは去る。
アップ・オア・アウト(Up or Out)という文化だ。
なぜならシンガポールには「キアス」と呼ばれる国民性がある。

根っからの負けず嫌いという意味だよ。
誰よりも自分が優秀でいたいという向上心・独裁色の現れ。職場では「我こそは」という、とても前のめりな人たちが多い。
そんな中、部下が優秀であれば、シンガポール人上司の評価も上がる。
つまり自分が部下として優秀な成績を残すことができれば、上司もHappy♪なのである。
この点、シンガポールでは新卒・現地採用・外国人でも、良いパフォーマンスを出せば素直に評価をしてくれるので一番の正攻法と言えるかもしれない。
他にも色々あるのだけれど、業界・職種横断的に思い付くのはこれくらいかな。こんなエピソードがあったよ!なんて人がいらっしゃいましたら、ぜひ教えて下さい*
シンガポール人上司との折り合いが上手くいきますように!
