
私、琴音。2016年卒でリクルートスーツを着ていた、当時22歳。日本での就職活動では、ズボラな性格が祟り色々ミスを犯していた。
例えば某大手ITコンサルのグループ面接でのこと。6人1組になって、制限時間45分以内に与えられた課題について話し合って、採用担当者にソリューションをプレゼンするっていうやつだったんだけど。
あれやこれや議論をして、無事にプレゼンも終わって、ハイ本日はこれで以上ですって言われて帰路についた時だった。
同グループ内にいた慶応大学出身のイケイケ男子が、超フレンドリーに話しかけてきた。
「琴音さーん、琴音さんって、すごいっすよね」
へ、私?やーだヤメテヨーそんな褒められることなんて…。しかし、その男子の目線は私の頭部にあった。頭お花畑の私に向かって、ポツリと一言。
「その、髪」
はい?(・_・;
意味わからぬまま、何気なくポニーテールに右手をやる。そして、もっこりした何かに触れた。
髪を止めていたゴムだ。スッと解いて、絶叫。

顔洗うときに使うゴムじゃん!!wwww
しかも超蛍光オレンジ!!wwww
さっきのグループ面接の光景がフラッシュバックする。
あれ、待って私さっき面接官にガッツリ背向けてたよな?てことはこのゴム丸見えか。オワッタwww
個性を殺してしまう日本の就活ルール

今年の9月、消費財メーカーP&Gが同社のヘアケアブランド「PANTENE」の広告で訴えた「就活生のホンネ」が話題になっていた。
日本の就職活動には、画一的な「身だしなみルール」がたくさんある。
- 基本は黒・紺・灰色のスーツに白シャツ
- 肩より下の長い髪はまとめる
- ネイルはなし/シンプル
- 女子はストッキング着用
こういう必要条件から外れると「社会のレールから外れた」みたいな過剰な扱いを受けてしまったりするんだよね。だからせっかく大学時代に花開かせていた個性的なファッションやら言動やらを、みんな一斉に諦めなきゃならない時が来る。
ちょっと悲しい(=・ω・`=)
ありままの自分で勝負しやすいシンガポール就活
その点、シンガポールでの就職活動はとっても「自由」だった。というより、世界から見たら日本の方が、よっぽど異常性を孕んだルールを敷いていると思われているんだろう。
シンガポールでは国家自体がダイバーシティという相違性に壮大な価値を見出している。世界各国から十把一絡げにできない多様な人々が集まっているから、「髪は黒」とか「ピアスなし」とか統一性を追求するような規制を設けたところで、それは個人を尊重しない人権侵害になっちゃうんだよね。
だから「黒髪で来い」なんていう理不尽なルールはない。
髪色が明るい茶色だって、目が青かったって、Cuz I was born this way!!!(生まれ持ったものなのよ仕方ないじゃない!!)ってシャウトするしかないんだよ。

シンガポールで最初に努めたリサーチ会社の採用担当者と、後々シンガポールと日本の就活市場の違いについて、話したことがある。
というかランチタイムに、私が日本の就活に求められるルールについてグチってただけなんだけど。汗
就職活動といえば!求められているこれらのルール。シンガポールでもこれに沿っていれば間違いない。なんだけど。
- 白シャツにスーツを着ている
- 落ち着いた髪色をしている
- 鎖骨よりも長い髪はゴムでまとめる
- 派手な化粧やネイルはしない
- 手帳を持ち歩いている
↑こういったリストって、日本で就活生するための必要条件な気がするんだよね。
例えば、日本では説明会でも面接でも必須アイテムであるリクルートスーツ。色は、黒か紺と相場が決まっている。ここは葬式か!と突っ込みたくなるくらいドンヨ〜リした会場は毎年SNSの恰好のネタになっている。
一方シンガポールでは、一部の金融企業を覗いて、スーツ着用絶対というルールは存在しない。というより、赤道直下のこの国でスーツ着て就活しるなんて、自殺行為に等しい…。着ていれば間違いないけど、スーツ着用というのは十分条件であって必須ではない。そのため女子はオフィス・カジュアルと名乗ったドレスで問題ないし、男子であってもジャケットまで羽織っている人は少ない。
シンガポールでも、やっぱり採用面接の時は黒や紺のスーツがいいんですか?
そう聞くと、シンガポール国立大学からの大手コンサル出身の優秀シンガポール人である人事は、「葬式じゃあるまいし〜」とケタケタ笑いながらこう言った。
その人らしさが現れている「好印象」な服装であれば何でもいいさ。それが個性ってものだから。それに中身にことは、話せばわかるしね。
靴だって、バックだって、悪目立ちしていなければ何でも良いという。
ちなみに彼は前職の金融企業でもトレーダーの採用に携わっていたらしい。名の知れた大手だから、採用に関しても厳しいルールが敷かれているかと思いきや、「シンプルなシャツであれば良い」らしい。第一印象が大切だとはいえ、ポテンシャル採用よりも実力主義のシンガポール。リクルートスーツを着てくる人が必ずしも採用されるわけではなかったという。
というわけで、シンガポールならもう少し自由に就職活動ができるかも?
