
20代女子の私にとって、日本の物価はシンガポールのそれよりも全体的に高いという印象がある。
日本帰国して3ヶ月。この国は交通費と食費だけでドンドン諭吉さんが浪費されていく…。

消費税も上がっちゃうしね…。
それで「生活費が高いよう!!」と嘆くと、実家の母や友人から「シンガポールではお金貯まったの?」って聞かれるんだけど。
そう、新卒現地採用でもシンガポールではしっかりと貯金できていたんだよ。
そこで今回は「シンガポール新卒・現地採用1年目の20代女子」のお財布周りについて紹介します(=・ω・=)

新卒一発目で働いたのは、シンガポールの米系リサーチ会社だった。
平日9時〜18時(ランチ1〜2時間)のオフィスワークで、残業手当てはなし。
社会人1年目の固定給は、S$4,100(=約33万円)/月。
これに出来高制のボーナスが月にS$200〜1,000(=約1万6千〜8万円)支給されていた。
シンガポールの求人紹介企業からは「新基準(※2016年当時)でのKotone様の就労ビザには、固定給4,800ドルが必要となります」って脅されて(笑)いたんだけど、余裕で下回ってたという。。。
けど当時、大学卒業直前で海外就職に踏み切った私に最初にビザを出してくれたのが、この米系企業だった。後がなかったので、即座にオファーを受けた。シンガポール就職に失敗したら、大学の進路相談室の就職先に「無職」って登録しなきゃならなかったしね。
それでいざ最終オファーを受けにオフィスへ出向くと、A4サイズの採用契約書には「固定給S$3,800」と手書きで示してあった。日本人の学部卒の相場だという説明も添えて。それで、当初言われていた要件よりS$1,000も下回るのは嫌だなぁと意地張って、サインする前にその場で給料の直談判をしてみたんだ。具体的には学生時代のアルバイト・インターン経験がいかに「職歴に値する」かを語り、最終的に会社が提示してきた「S$3,800」を「S$4,100」まで引き上げることをお願いした。
今だったらそんなリスキーな真似はしないけど、当時は全能感と勢いが味方してくれた。幸い初日から「クビー!」とはならずに、会社の一員となることができた。
源泉徴収がない=手取り率ほぼ100%
新卒22歳でシンガポール就職して貯金額に最も大きな差を与えたのは、日本でもシンガポールでも「年金」と「健康保険」に入らなかったことだ。
海外で就職する場合は、日本の年金を払わなくても資格期間だけ延長してもらえる。例えば2年半シンガポールにいた私の場合、本来日本に住んでいれば無職ニートでも払わなければいけない2年半分の国民年金を、シンガポール在住という言い訳(?)のため無払いOK、かつ受給資格のみゲットすることができた。もちろん払っていないお金を将来受け取ることはできないけれど、国にいなかった分の余計な支払いが課されないのは大きい。
で、日本では払っていなかった年金だけど、代わりにシンガポールで収めていたわけでもない。
そもそもシンガポールでは公的年金の代わりに、中央積立基金(CPF)という政府が管理する積立金制度が敷かれている。最大利回りが5%と普通口座預金よりも高いことから多くのシンガポール人が利用しているんだけど、外国人労働者である私たちからは、永住権(PR)をゲットしない限り源泉徴収されることはない。CPFは「いつでも使えるお金」ではなくて、医療費・住宅購入費・老後の投資といったように用途が限定されているので、シンガポールで長期滞在を考えていない場合はあまりメリットを感じられないしね。
というわけで日本でもシンガポールでも、年金なるものを払うことはなかった。地方税の差し引きもなし。
さらに、シンガポールには国民健康保険もない。現地採用の日本人の中には個人で保険に加入をしている人もいたけれど、私の場合は会社加入であったうえ、提携病院の診察は実質「無料」で受けることができた。歯科治療のみ、請求可能上限が年間S$200までだったかな。
したがって、シンガポール現地採用の給料の手取り率は、ほぼ100%に近い。
もらった給料は、そっくりそのまま口座に置いておくことができた。この時点で日本の新卒よりも格段に貯金額は多いことになる。
シンガポール現地採用組の陥る5つの「ナイ」
ここまで話すと大抵の人は「今すぐ飛びマス!!」ってキラキラ目を輝かせる。
私も月S$4,000以上のオファーをゲットしたときは人生順風満帆だヒャッホーイ!!だったんだけど、そう好条件ばかりでないのが現地採用の実態でして…。
シンガポールの現地採用の給料には、5つの「ナイ」があるので、ぜひ参考にしてほしい(=・ω・=)
1)家賃補助
まず、駐在員がもらっている家賃補助がナイ。
シンガポールにおけるコンドミニアムの単身用ワンルームは、S$2,500〜3,500(20〜30万円弱)くらいが相場だ。立地の良い新築(ジャグジーやテニスコート付き)で家族同伴となるとS$5,000(40万円)台にのぼるところもあるけれど、大手企業の駐在だと家賃は会社が負担してくれる。
シンガポールで一緒にテニスをしていた知り合いには駐在員が多かったけれど、彼らによれば「世帯数とサポート量は比例するから、結婚しても子ども生まれても、個人の出費としては痛手にならない」らしい。
日系サービス業の駐在員をしている同い年の独身女性は「家賃の4%を会社に支払う」だけで良いという。アクセスの良い一等地に住む彼女の賃貸はS$3,500(約28万円)だったけど、実質負担になっているのは月に1万円ちょっとということになる。大手メーカーの単身一人暮らし男子は、月に25万円くらいまでは会社負担だと言ってたな。
いやー、それ新卒現採の月給だからwww
日本生まれ日本育ちの新卒ペーペーに、月25〜30万の家賃は…キツいな。
ただこれはワンルームを前提とした話なので、トイレやバス、リビングルームが他者と共有でも構わないとなれば格段に出費を抑えることができる。
光熱費や通信費は大家さんがまとめてやってくれるから自分で払う必要がなかったり、自動的に友だちができたり、シェアハウスも悪くないよ(=・ω・=) (っていうマインドがそもそも現地採用向きかもしれないけど。笑)
2)海外渡航手当て
日系商社の海外駐在員になれば「海外手当てのおかげで給料が1.5倍になる」なんて話はよく耳にする。実際に商社に勤めている学生時代の同期たちは、今後の人生をかけた熾烈な駐在競争の真っ只中にいる。入社3,4年目の25歳で、海外に行けるか否かの分かれ道におり、その切符を手にするかどうかで30歳時点での給料に2〜3倍の差がつくとか。
残念ながら、現地採用の場合はそういった渡航手当もナイ。
手当も何も、自分の意思で飛んでるんだからねww
海外に出たからといって給料の増加は期待できない。
3)日系クリニックの医療費負担
シンガポールにはジャパングリーンクリニック(JGH)やラッフルズジャパニーズクリニック、日本メディカルケアなどの日系クリニックがあり、日本語で最先端の医療を受けることができる。
命に関わることなので、怪我や病気の際は日本語で治療を受けたいと思うのは自然なことだろう。
現地採用では、よっぽど日本人優勢の企業でない限り、ローカルの提携病院での治療費しかカバーされていナイのが基本だ。当然、診察も英語や中国語になる。私は英語で「昔ヤブ蚊に刺されたところを別の虫に刺されて寝ている間に引っ掻いたらイクラみたいにグジュグジュになって腫れた」と説明するのに苦労し辞書を引く必要があった(語彙力のなさ)。
診察自体も「丁寧さ」よりは「迅速さ」を重視しているのか、どこかのCMみたいに「あなたの風邪は、どこから?」とか優しく聞いてくれない。
あぁ熱出しちゃったの?
じゃあ解熱剤ね!!!(終)
幸いシンガポール滞在中は、刺されモノが腫れた、ものもらいになった、熱を出した、激しい腹痛に苛まれたくらいでしかローカル医院にはお世話にならなかったけど、仮にもっと大事だったら泣き寝入りしていたかもしれない。
4)就労期限
大方数年間(今では2年弱?)と予めシンガポール滞在期間が決まっている駐在とは異なり、現地採用には終わりがナイ。働く希望があれば、何十年だってシンガポールにいることができる。
就労期限がエンドレスであることの一体何が問題かというと、日本帰国に対する手当てが出ないことだ。
もちろん会社都合で退職させられる場合は、退職金や帰国便の航空券を負担してくれるけれど、基本的には来るのも帰るのもあなたの勝手だからご自由にどうぞ♪っていうスタンス。引っ越し(荷物の航空便代など)や退去費用まで面倒を見てくれる企業は少ないだろう。これが、結構辛い。だから現地採用で住居探しをするときは、予め家主にノーティス期間(何ヶ月前に退去報告すればOKか)を確認し、できるだけ長期契約は避けることをオススメする。
駐在であれば、海外滞在の任期を満たせば日本本帰国手当をポーンと懐に入れることができるんだけどね。コンドミニアムの住居契約を途中解約した場合は、ペナルティーとして残りの家賃を全額支払う義務があるんだけど、これも企業負担してくれるそうだ。
5)その他・現物支給
その他、現地採用には色々な現物支給がナイ。
シンガポールに来てから知り合ったメーカー勤務の日本人男性には日本車TOYOTAを乗り回している人がいて、「営業職だから会社のやつだよ」と言っていたんだが文字通り顎が落っこちてしまった。ちなみにゴルフ用品と家電一式も、会社から譲り受けたと言っていた。なんて太っ腹…!
シンガポールから日本に一時帰国する場合には、回数制限はあれど旅費の一部を負担してくれたり。子どもの教育費をカバーしてくれたり。その他、目に見える数字となって口座には貯まらないけれど、現地採用者が受け取れていないサポートは多い。
自由なお金を優先するか、サポートを充実させるか
というわけで私なりの結論は↓
シンガポールの日本人(新卒)現地採用のお給料は「高く見える」。本来なら税金や自社株投資に差し引かれている分が現金支給されて、お金の使い道の自由度が上がるから。
ただし長い目で総体的に見れば、シンガポール駐在員として働いた方が給料総額は高い。
大卒22歳の単身女子にとっては、現地採用でも生活するのに十分な金額だったけどね。ぶっちゃけ「自由なお金を優先させるかサポートを充実させるか」、また「お金が貯まるか貯まらないか」は本人の好みや生活習慣次第な気もしてくる。
じゃあどうすればシンガポールの現地採用でもお金が貯まるの?っていうのは、後日の記事を参考にしてね(=・ω・=)
