フライト前に必ず行なっている1つの決まりごと

その日は、誰一人として抗うことができない。

つい昨日までニコニコ笑顔だった人が、どんなに面白おかしい冗談を言ったって、これっぽっちも笑ってくれなくなる。どんなに意地悪なことをしたって、怒ってくれなくなる。

死は、突然やってくる。

何の前触れもなく、あっさりと。

告別式というものには片手に収まる程しか出席したことがないけれど、何の脈絡もない場所で唐突に「別れ」が回想される時がある。

飛行機に乗る前だ。

もし飛行機が墜落して、これでバイバイなんてことになったら嫌だ…。そういう緊張感があるのかもしれない。

来る者と去る者が交差する空港では、ただでさえ「別れ」が多い。

そんなわけで、私には搭乗前に、必ず行なっている1つの決まりごとがある。

家族、恋人、友だち。自分にとって大切な人たちに、必ず連絡をすることである。

自分が乗るなら「行ってきます」

誰かが飛ぶなら「良いフライトを」

空の旅は、壮大なものだ。

それが、たかが1時間程度であろうとも。

「飛行機で別の国へ行く」ということは、単なる移動ではない。「新たな自分の発見」や「人間関係の変化」であり、同時に「絶え間ない挑戦」や「ルールからの妥協」でもある。ドラえもんと一緒に時空を自由に飛び回ってるような、奇妙で愉快なロマンがいっぱい。家でバラエティー観て過ごす1時間とはわけが違うのだ。

私はかれこれ5年間くらい日本と海外を行き来している身で、空の移動は慣れっこと言いたい…。でも、旅に出る時のワクワクとソワソワは、今でも初心のまま。

そして、新たな旅を目前にすると、いつも心が「いつ別れがきてもいいように」という準備を始めるんだ。

そんなわけでフライト前は「悔いのないようにしよう」と大切な人たちへメッセージを送るのが常となった。

少し昔に「今年の汚れ、今年のうちに!」というCMがあったけど、そのノリで「その日の感謝、その日のうちに!」という感じ。

伝えたいことは、伝えられる時に言っておきたいものですね。

今日も一人、大切な友人が海の向こうに旅立った。

いってらっしゃい。良いフライトを!

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